職場の“ひとりぼっち”をなくす
「最近入った子、すぐ辞めちゃったなぁ」――そんな言葉が増えていませんか。小さな製造会社では、人数が少ないからこそ、一人の離職が大きな痛手になります。とはいえ、社長もベテランも毎日忙しく、新人教育に十分な時間を割けないのが現実です。新人は質問するタイミングを逃し、わからないまま作業を続けてミスをしてしまう。気づけば、心が離れてしまうのです。
小さな会社だからできる“教え合い”
そこで効果を発揮するのが、「メンター制度」です。難しく考える必要はありません。新人に一人、少し先輩の社員を“先生役”としてつけるだけ。ペアになって、1日10分だけ話す時間をつくります。「今日できたこと」「困っていること」をお互いに話す。それだけで新人は安心感を持ち、先輩も教えることで自分の仕事を振り返るきっかけになります。
この“日々の声かけ”が、会社全体の空気を変えます。新人が育つだけでなく、教える側の意識も変わるのです。「人に教えると自分が一番学ぶ」――その実感を社員全員が持つようになります。
成功した町工場の取り組み
たとえば、ある町工場では、毎朝の朝礼後に「ペア会話タイム」を設けました。新人と先輩が作業前に10分だけ立ち話をし、前日の気づきや今日の目標を話すのです。初めは照れくさそうだった社員たちも、1か月もすれば自然に声をかけ合うようになり、職場が明るくなりました。結果として新人の定着率が前年より20%上がり、ベテラン社員からも「教えるって悪くないな」という声が出てきたそうです。
今日からできる第一歩
明日からすぐにでも始められます。まずは一人の新人に一人の先輩を決めて、毎日10分だけ話してみる。それだけで十分です。話す内容は仕事のことに限らなくても構いません。少しの会話が“安心”を生み、その安心が“成長”につながります。
社員が少ない会社ほど、人の距離は近く、心のつながりが強みになります。大企業が真似できない、温かい人づくり――それが、あなたの会社の何よりの競争力になるのです。


