「通りすがりに選ばれない店」から脱却する──小さな飲食店が新規客を増やすための実践策

「通りすがりに選ばれない店」から脱却する──小さな飲食店が新規客を増やすための実践策
常連は来るのに新規が増えない──小さな飲食店に多いジレンマ

「味には自信があるのに、新しいお客さんがなかなか来ない──」
そんな声を、地域密着型の飲食店の店主からよく耳にします。常連さんには喜ばれ、リピーターも一定数いる。でも、新規のお客様が増えず、売上が頭打ちになっている……。その原因は、料理の味やサービスだけでなく、「知られていないこと」や「見られ方」にあるかもしれません。

新規客が増えない理由──発信不足と見られ方の誤解

飲食業界では、「おいしい料理を出せば自然と人が集まる」という信念が根強くあります。確かに品質は大切ですが、それだけでお客は増えません。
特に近年は、検索やSNSで「選ばれる」ことが、来店の入口になっています。

よくある問題点:

  • 店舗の外観や看板が通行人の目を引いていない
  • Googleマップや食べログの情報が古く、写真も少ない
  • SNSの更新頻度が少なく、内容も料理の写真のみ
  • 「誰に来てほしいか」「どんな場面で使ってほしいか」が発信されていない

加えて重要なのが、新規客と既存客の割合を把握できていないことです。
「新規は月に何人?リピート率は?」といった数字を記録していなければ、改善策を講じても成果を検証できません。

改善の第一歩──「店の価値を伝える」視点に立つ

「通りすがりに選ばれる」ためには、まずお客様の目にどう映るかを設計する必要があります。店の魅力は、存在を知ってもらい、期待を持ってもらって初めて来店につながります。

  • 外観と店頭表示の工夫
    • 店頭に写真付きメニューや手書きのボードを設置
    • 看板は「料理名」より「使う場面」で訴える(例:「仕事帰りにひと息」「お子様連れ歓迎」)
  • Googleビジネスプロフィールの整備
    • 写真を季節ごとに更新
    • メニュー・営業時間・アクセス情報を最新に保つ
    • 口コミには必ず返信し、「雰囲気」や「接客姿勢」も伝える
  • SNSは“体験”を発信するツール
    • 料理紹介だけでなく、「誰が」「どんな時に」食べているかを表現
    • 常連インタビュー、厨房の様子、仕入れの工夫などもコンテンツに
  • 新規・既存客の把握と分析
    • 来店時に「初めてですか?」と確認して記録
    • レジや予約記録を使って週ごとに新規・既存を集計
    • LINE公式アカウントや予約アプリでの登録状況を活用
実際の変化──“何をどう変えたか”が成果につながる

神戸市の住宅街にある和食店では、

  • Googleビジネスプロフィールの写真を毎月更新
  • 店頭に「おひとり様歓迎」「家族で祝う和のお昼ごはん」のボードを掲示
  • SNSでは、料理写真より「次回の仕入れ予定」「開店前の厨房風景」などを投稿

その結果、半年で新規来店者数が前月比150%を維持。
客層も若干広がり、ランチタイムの客数が安定するようになりました。

まとめ──まず「見られ方」と「数字」を整える

「良い店なのに知られていない」は、惜しい状態です。
まずは新規客と既存客の割合を把握する仕組みをつくりましょう。
そのうえで、“見つけられる”“選ばれる”工夫を継続すれば、じわじわと効果が現れてきます。
小さな改善の積み重ねが、明日の満席をつくります。