便利なはずなのに、なぜ使ってくれない?
「新しいシステムを導入したのに、結局使われていない」
「誰もマニュアルを読まないし、入力も続かない」
そんな悩みを抱えている経営者の方は、少なくありません。
IT導入に手応えを感じられない原因は、決してツールそのものだけにあるわけではありません。
IT導入が“現場不在”で進められている
中小企業におけるIT導入の多くが、「経営判断で急に始まり、現場は知らないうちに巻き込まれていた」というケースです。
現場にとっては、「なぜ今これを使うのか」「どう操作すればいいのか」が説明されないまま、業務フローが変えられてしまう。戸惑いと不満が蓄積し、やがて“使わない”という選択につながります。
さらに、現場のITリテラシーには差があります。操作に慣れていないスタッフにとっては、「難しそう」という第一印象だけで心理的ハードルが生まれます。
こうして、便利なはずのITツールは、「面倒なもの」として敬遠されてしまうのです。
現場が「使いたくなる」仕掛けを設計する
ITが現場に定着するためには、導入前後に次のような工夫が求められます。
- 導入前に現場の声を聞く
- 「どこに不便を感じているか」「どの業務が煩雑か」といった声を集めることで、必要な機能や負担になりそうな操作を見極めます。
- 操作性と日常業務へのフィット感を重視
- 高機能より“シンプルで続けられる”ことが重要です。導入前に画面のデモを確認することも有効です。
- 初期研修・フォロー体制の整備
- 短時間の操作研修、簡単なマニュアル、相談できる窓口などがあると、安心して使い始められます。
- “習慣化”を意識した運用ルール作り
- 日報、チェックイン、記録など日々の業務の中に自然に組み込まれる形にすることで、定着率が上がります。
小売業で成功した「体験から始める」導入アプローチ
ある小規模の小売業では、勤怠管理を紙からクラウドに切り替える際、まず従業員向けに「体験会」を実施しました。
スマホでの打刻体験をしてもらい、「これならできそう」「時間が記録されるのは楽」という声が次々に出てきました。
導入前のこの一工夫で、操作に対する抵抗感がほぼなくなり、稼働後も混乱なくスムーズに運用がスタートしました。
結果として、集計や給与計算の手間が大幅に減り、経営者の業務時間も削減されました。
ITは“現場と一緒に育てる”もの
IT導入は、トップダウンで押しつけるものではなく、現場と一緒につくり上げていくプロセスです。
「便利にするため」と始めた施策が、「使いたくないもの」になってしまっては、本末転倒です。
OfficeMaeharaでは、IT導入前のヒアリング、ツール選定、研修設計、運用ルールづくりまで、現場に寄り添った支援を行っています。
「ツールを入れたのに、なぜか使われない」──そんなときは、一度立ち止まって“現場の声”に耳を傾けてみませんか?