経営者として「このままでは危ない」と思っているのに、社員たちはどこかのんびりしているように見える。そんな場面に心当たりはありませんか?
実は、社員が「危機感がない」のではなく、「見えている風景が違う」だけかもしれません。
ギャップの正体とは?
このズレの背景には、主に以下のような要因があります:
- 立場の違い:経営者は全社視点で将来を見ているのに対し、社員は日々の業務に集中しています。
- 情報量の格差:経営者が持つ財務や経営指標の情報が社員には共有されておらず、危機の深刻さを実感できない。
- 感じ方の違い:同じ事象でも、役職や責任によって受け止め方が異なる。
まさに「ルビンの壺」のように、同じ絵でも見る人によって“見えているもの”が違うのです。
ズレを埋めるための3つのアプローチ
- ビジョンや危機感を「言葉」と「図」で伝える
- 定例ミーティングで数値目標だけでなく、未来への危機感やビジョンをストーリーで語りましょう。グラフや図を使えば、情報はより伝わりやすくなります。
- 情報を「見える化」して共有する
- 社員に開示できる範囲で経営情報を共有し、「自分ごと化」してもらう工夫をしましょう。売上、コスト、粗利などの指標を現場単位で可視化するのも有効です。
- 対話の場をつくる
- 社員から見えている現実を聴き、経営者の想いとすり合わせる「対話の時間」を定期的に設けることで、相互理解が進みます。
外部の視点を取り入れるという選択肢
どうしても社内だけで噛み合わない場合は、第三者の視点を活用するのも一つの方法です。外部のコンサルタントは、経営者と社員の間に立ち、双方の見えている景色を翻訳し合う“通訳者”としての役割を果たします。
社内にしがらみのない立場から課題を浮き彫りにし、組織内の対話を促すファシリテーターとしても有効です。
まとめ
「伝わっているつもり」「わかってくれているはず」は、ズレの温床になります。まずは、立場や視点の違いを前提に、お互いの“見えている世界”を丁寧に共有することから始めましょう。そのプロセスこそが、組織の一体感を生み出します。