融資を断られたのは「規模のせい」ではない?
「ウチは小さい会社だから、銀行は相手にしてくれない」
そんな言葉を耳にすることがあります。
でも、それは本当に“規模のせい”でしょうか?
同じような規模の企業でも、スムーズに融資を受けている会社は存在します。その違いはどこにあるのでしょうか。
借りる前から始まっている「金融機関との関係構築」
中小企業が金融機関から資金調達をする際に陥りがちなのが、「必要になってから突然お願いする」というパターンです。しかし、銀行側から見ると、それは「急にやって来たよく知らない会社」。当然、判断材料も少なく、貸し渋りの対象になってしまいます。
銀行は“事業そのもの”ではなく、“経営者の姿勢と情報の整備状況”を見ています。
つまり、資金が必要になる前からの情報提供と信頼構築が、融資成功のカギを握っているのです。
信頼を得るための3つの準備ポイント
金融機関との関係づくりの基本は、以下の3点を日常的に整えておくことです。
- 資金使途の明確化
- 「なぜ資金が必要か」「何に使うのか」「どう返すのか」を、具体的に言語化し、説明できるようにする。
- 定期的な経営数値の提出
- 決算書だけでなく、月次試算表や資金繰り表など、日常的に数字を整理し、状況の変化を報告する。
- 事業計画書の準備
- 今後の経営方針や目標、資金調達の必要性を盛り込んだ、簡潔かつ現実的な事業計画をまとめる。
このような準備がある企業は、金融機関から「事前に相談してくれる誠実な会社」と評価され、結果的に融資の実行もスムーズに進みます。
実際の改善事例:事前準備が信頼につながったB社
サービス業B社では、創業当初から顧問税理士のサポートのもと、毎月の試算表と簡単な業況報告を地元信用金庫に提出していました。
その結果、創業3年目に店舗改装のための資金が必要となった際、すぐに条件付き融資が承認されました。
信金担当者の言葉は印象的でした。
「数字だけじゃなく、日頃から状況が見えていたので安心して上司に推薦できました」
信頼とは、こうした「平時の小さな積み重ね」で築かれていくのです。
「借りられない」のではなく「信頼がない」だけかもしれない
金融機関は、中小企業にお金を貸したくないわけではありません。むしろ、地域密着の金融機関ほど、地元企業を支援したいという意識があります。
ただし、「相手のことがよくわからない」状態では、どうしても慎重にならざるを得ません。
まずは、現状の経営数値を整理し、資金の使い道を明確にするところから始めてみましょう。
信頼は、今日からでも積み上げられます。次の融資の相談が「断られる前提」ではなく、「一緒に考えてくれる関係性」になるよう、今から動き出しましょう。